川崎ってアートがあふれていてイイネ、と言わせたい
商業施設、公共施設でさまざまな芸術に触れられる。これは文化豊かな町の条件ですね。でもこれだけではもの足りない。自分の作品、技能を発表できる場がある町、プロじゃない人達の作品もふんだんに見ることができる町。そもそも上手とか下手とか関係なく表現することを誰もが楽しめる町、受け入れる町。そんな川崎ってイイネ、と言わせたい。
手頃なアートスペースがない?
アート展示スペースはあるけど料金が高い。なかなか抽選が当たらない。アマチュアの個人では登録がむずかしい・・・
これを「仕方ないな~」と手をこまねいていては、私たちのマインドは変わりません。
公的援助を求めるのにも様々な制約があります。まずは私的な活動を立ち上げることにしました。それが「アートロジ片平」です。アートロジは貸しスペースではありません。市民スタッフがキュレーションをして展示をするアートスペースです。
まずは近所の路地から
麻生区スポーツ健康ロードに指定されている麻生区片平川沿いの遊歩道。脇に私有地の住宅地用コンクリート壁があります。日本中どこにでもある灰色の壁です。その壁のヨコ10メートルほどの区間に全天候型のアートパネルを6つ設置しました。展示作品は絵画、写真、書、文芸など様々。展示企画のいくつかは作品を公募します。
1万点の応募作品から上位3つを選びました!?
確かにそれは素晴らしい3点でしょう。その競争率の厳しさに向かう精神も素晴らしいし、裾野の広さも素晴らしい。しかし、そうしたコンペは世に沢山あります。
アートの至高を目ざす世界とは別に、ご近所のおじいちゃんが1年かけて描いた絵を飾るアートスペースがあってもいい。地元の老人クラブの俳句をみんなで鑑賞するのもいい。言葉でコミュニケーションがうまくとれない子どもが描いた表現に注目するのもいい。
小規模な活動の場があちらこちらにあって、犬も歩けば棒に当たる?人も歩けばアートに当たる!町、川崎。このムーブメントを創り出したいのです。
はじめの一歩
自分たちはこの活動をまず10年続けたい。そして遊歩道脇の活動規模を拡大するのではなく、ご近所アートスポット「アートロジ」の活動のロールモデルを作り、大都市川崎にアートロジが100,200,と増えていくことを願っています。そして、アートという自己表現を手に入れた人が増えればどう社会は変わっていくでしょうか。
私たちは想像します。
・疎外感から自殺をする人が減っている。
・ご近所のコミュニケーションが生まれて、社会に包摂されていると感じる人増えている。
・個人を尊重する人が増えている。
・美しい景観、町並みに対する意識が高くなっている。
・遊び心を発揮する大人が増えている。
・少数者がかかえる問題への理解が進んでいる。
・美術館に行くひとが増え、アーティストに対するリスペクトが増している
・社会の堅苦しさが和らいでいる。
何を大げさに、と思う向きもあるかも知れませんが、はじめの一歩はいつでも小さな一歩です。
「アートロジ片平」活動の基本情報
アートロジ片平は遊歩道脇のオープンな場所です。
年中無休、無料で誰でも楽しめます。
パネルの展示替えは随時実施されます。
地域の話題、地域の表現者を積極的に取り上げます。
SNSでの公募、活動報告を行います。
オープンスペースゆえ、取り扱う作品には物理的制限、管理上の制限があります。
私たちの情報はこちらからご覧になれます
Twitter:@artroji
Instagram:@artroji_katahira
活動資金
運営には個人の寄付、団体からの協賛金が不可欠です。
2022年度は麻生区地域コミュニティ活動支援事業として認可され助成金をいただきました。
活動そのものから収益を得る仕組みはありません。
スタッフワークも全て無償です。
寄附していただいたお金は主に次のことに使われます。
・パネル額の設置、維持費
・展示品の設営にかかわる文具、工作物などの雑費
・活動報告集の製作、発送費
現在進行中の企画
片平のおもかげ
地元の70年前の写真、現代の写真を並べて展示します。また、地元の美術家佐藤英行氏が描いた昭和初期の片平俯瞰絵図、ささらプロダクションの作品ポスターなどを展示します。
サッカーキッズ絵日記
地元のフロンターレ麻生教室に通う小学生に絵日記を描いてもらいます。
∞かたひらキッズ
地元の子どもの書を展示します。指導は地元の書家谷先生。
らしくないドクター語録
地元の開業医であり「人を見て、病気を診ず」の著者でもある木村先生の語録を書で展示します。
ミツバチの世界
片平の山中で養蜂を営んでいるエリックさんを写真家池田氏の写真で紹介します。
障害者就労支援の現場から
地元の人達の絵画作品を展示します。
おいしいカレンダー
地元の洋菓子店に使われたイラストを展示します。
旅の絵はがき(アートシェア)
旅先で見つけたちょっと面白い絵はがき、知人から送られた絵はがきをみなさんからお借りしてシェアします。
ここで一句
俳句、川柳の投稿企画です。
善いことはカタツムリの速度で動く
「インド独立の父」とされるマハトマ・ガンジーは「速度をあげるばかりが人生ではない」といい、鉄道ブームに批判的でした。「善いことはカタツムリの速度で動く」とも言い残しています。情報が瞬時に世界を駆け巡る現代にあって内的な世界と現実の世界のバランスの取り方は人によって異なるでしょう。アートロジは各人が歩くスピードに寄り添う露地(路地)であり続けようと考えています。
メンバー
高畑久美子
横浜市出身。麻生区片平川近くに住んで20年。自然を身近に感じられるこの町が大好きです。様々な一が行き来する片平川沿いのジョギング・散歩コース。そこに芸術作品他を展示して道行く人の憩いの場にしたいという企画に喜んで参加させていただきました。
これまで書を通じて自分の有り様を考え、人とつながり生きてきました。書に触れ、書の魅力を感じていただけたらうれしいです。
床の間や美術館から飛び出して、書がどのように翔んでいくのか?とても楽しみです。
中山周治
麻生区片平出身。生まれた地で農業を営む。今の仕事に就く前には学校教育の現場で「アートで地域とつながるプロジェクト」など社会参画型の学びを高校生、大学生とともに展開してきた。教室を飛び出す授業では、学生はまさに水を得た魚のように全身の細胞が活性化する。これは教える側も同様だ。教室を飛び出すクセを今回の露地(路地)での活動に生かしていきたい。
本活動の拠点である片平川は半世紀前までは水田に水を注ぐ命の川、子どもらが水遊びをする川であった。昭和の高度成長期に田んぼは住宅街に変わり、川岸はコンクリートで囲われた。ゴミが投げ捨てられ、汚染していた。今はだいぶ水質、周辺環境が改善された。近くにあるのに遠い存在になってしまった片平川だが、水は流れ続け、人々は側道を歩みつづけている。この川の理想型はこんなもんじゃない。もっとうるおいを求めているのだ。
中山春樹
麻生区出身 中央大学国際経営学部 世界を自分の目で見てみたいという強い想いからバックパッカーとして世界15カ国へ渡航。特に世界各地のオノマトペに興味を持ち言語や民族という側面から文化の違いを体感した。
コロナで海外渡航が難しくなり、思いつきでプログラミングを始める。アイデアを形にできる面白さと無限の可能性に惹かれ没頭。現在は学習記録アプリ開発など日常を少し便利にする自分オリジナルのシステム開発に奔走中。
片平川を歩く人々にアートを楽しんでもらい、その裏で動く仕掛けにテクノロジーのエッセンスを加えられたら良いと考える。
光股剛
町田市出身、町田市在住(限りなく川崎寄り) 川崎フロンターレのファン歴12年
音楽活動後、裏方ではありますが舞台関係に進み、人の表現に「光」をあてる仕事をしております。バイクで全国各地を旅して、川と自然と人とのつながりを画像や動画を通じて配信。ドローン撮影、画像処理に精通。人に何かを伝える大切さを形にできたらと参加させていただきました。
松田ユリ子